【完】『ふりさけみれば』

しかしながら。

連絡先は交換したものの、恵里菜も力も人見知りが激しかったらしく、

「メールをしても続かないんだよね」

恵里菜はいった。

「みなみ、兵藤さんのときってどうだった?」

「カズはとにかく、何でもそうだけど物怖じしない人だったからなぁ」

でも。

人見知りはあったらしい。

「すごく気を遣うらしくて、でも人見知りって思われるのも嫌だったらしくて、だから明るく振る舞って人見知りに見られないように、カムフラージュしてた」

どうも。

力にはそうした芸当は出来ないらしい。

「みなみの場合、どうしてた?」

「手紙はよく書いてた」

「…手紙?」

「うん。結果的にはそれが良かったみたいで、だから会ったときも、前に手紙でこんな話題がって、それで互いを早く知ることが出来たよ」

まぁ書けとはいわないけど、とみなみは小さく舌を出して笑った。



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