【完】『ふりさけみれば』
もっともみなみが驚いたのはミラーで、
「このタイプを探すのだけ時間かかったんですよ」
と言って指をさしたのは、一慶が使ってた角形とは違う、クロムでメッキされた円形のミラーである。
「ライトがいわゆる昔ながらの丸目型ですからね、丸型のミラー探すのだけは苦労しました」
ミラーひとつ変えただけなのに、クラシカルな雰囲気に変わっていた。
結局ネットで見つけたものをつけたとの話であった。
さらに。
変わっていたのは後輪にあったバッグである。
「バッグだけは破れてましたから新しくしました」
と取り付けられていたのは、スリムなジュラルミンのケースである。
「普段はここにカバーやら車検証をいれとくんですね。で、運転するときはここにチェーンキーをいれとくんです」
そうしたさまざまなアイデアの詰まったドラッグスターは、みなみが受け継ぐことになったのであった。