【完】『ふりさけみれば』
「さっきちょっと聞いたんだけど…兵藤先生、降板だって」
「…えっ?!」
みなみは一瞬よく分からなかった。
「何でも関西で失言しでかしたみたいで…」
既に、スタジオはざわつき始めていた。
仮に公表すれば、とんでもない騒動になることは明白であろう。
それだけに。
秘密裏にすることが求められる。
みなみは顔がこわばった。
が。
番組で発表されると、
「あの兵藤先生がねぇ…」
とはいいながら、しかしかばう者はなかった。