【完】『ふりさけみれば』
結論として。
みのりの怪我は思っていたより軽傷で済んで、輸血の心配も消えた。
が。
新たに問題が出たと言ってよい。
「愛の実父は、果たして本当に一慶なのか」
という疑念である。
この疑問を恵里菜にぶつけてみると、
「遺伝子で鑑定するしか方法はないよね?」
いつもの恵里菜らしい、冷徹な回答が戻ってきた。
しかし。
まさか愛に鑑定をしたいと言おうにも、デリケートな中身なだけに言いづらい。
数日後。
恵里菜からメールが来た。
「あのさ、調べるってのはどう?」
藪から棒な発言にみなみはキョトンとした。