【完】『ふりさけみれば』

調べろと言われても、

「いったい、どうすればいいの?」

「たまに愛ちゃん泊まるよね?」

「うん」

「じゃあ、歯ブラシか何かあるよね」

歯ブラシについた唾液から割り出す、というのである。

「あとは使った割り箸でも大丈夫なんだって」

なんだかまるで疑っているようで、後ろ暗い気持ちはした。

が。

肚が決まると、みなみは大胆に動いた。

愛が泊まって帰った朝、愛の使った割り箸を集めると、

「こんなんで大丈夫なのかなぁ」

恵里菜が教えてくれた検査の会社に、取り寄せたキットで送った。

みなみとみのりが使った、それぞれの割り箸も、である。

仮に血が繋がっているなら、みのりと愛は異母姉妹になるはずで、そこを明らかにするには三人ぶんが要るというのである。

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