【完】『ふりさけみれば』

結果が来る一ヶ月ほどのあいだ、検体を検査に出したことを忘れがちになるぐらいに、みなみは毎日を忙しく過ごした。

仕事が詰まっていたのもあって、そのまま愛に会う機会もなかった。

それがかえって。

変に悩んだりする時間もないまま過ぎたかたちとなって、みなみは良かったようにも思われた。

知っているのは恵里菜だけで、

「兵藤センセと血が繋がってたら、まぁそのときはそのときだけど」

繋がってなかったら、どうなるのかな…恵里菜は予言めいたことを言った。

「まぁ繋がってなくても、たぶん何も変わらないかなぁ」

みなみは我が身に言い聞かせるようなことを言った。



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