【完】『ふりさけみれば』

が、ここで。

みなみの脳内には、新たな疑問が生まれた。

なぜ一慶は愛を実の娘だと思い込んでいたか、という点である。

こればかりは。

みなみも分からない。

考えてみはしたものの、当たり前ながら分かる話でもなく、再び恵里菜に相談を持ちかけてみた。

「うーん」

恵里菜は首をかしげ、

「こればっかりは私も分からないなぁ」

こうなると。

迷宮入りかとも思われたが、

「力があちこち訊いてみるって」

と恵里菜から連絡が来たのは、みなみも忘れかけた頃の話であった。



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