【完】『ふりさけみれば』
7 確かなこと
それからまた、しばらく過ぎて。
珍しく力からみなみに電話がかかってきた。
ついでながら。
力は留守番電話が苦手らしく、三回ばかりかけた履歴があったが、みなみは移動中で出られなかった。
つながったのは四度目で、
「みなみちゃん、忙しいのに悪いな」
と逆に力が謝るのでみなみが恐縮したほどである。
「でな、例の愛ちゃんの話やけど」
そういうと、
「うちの常連の行政書士にやり方聞いて、うちであちこち書類取り寄せてみた」
との話で、
「戸籍を見たけど父親は空欄やねん」
と、どうもそこの真実は分からないらしかった。