【完】『ふりさけみれば』
その時期。
恵里菜のテレビ局で、新しく番組をスタートさせる企画会議があって、
「有名人のルーツを探る」
という案が出された。
そのパイロット版の番組のナレーションを、みなみが担当することになったのだが、
「そう言えば兵藤一慶って、昔ネットで隠し子がいたとかいなかったとか噂になってた時期があって、あれちょっと調べてみようか」
と、ディレクターがどうも余計なことを言い出したらしく、
「まぁそんな理由で、橘みなみと兵藤一慶の周囲を取材することになったから」
と言われ、さすがにみなみは困惑をあらわにした。