【完】『ふりさけみれば』

本番の放送が終わると、みなみは新幹線で京都に向かった。

「…大丈夫かなぁ」

落ち着こうと必死で抑える気持ちとは裏腹に、焦る思いもみなみには十重二十重(とえはたえ)に入り混ざっている。

車中の新聞で、仔細は判明していた。

関西の番組で不祥事を起こした大物の国会議員を、

「金で議席買ったんちゃうか」

としたたかに放言し、これが原因で番組に抗議や脅迫が殺到していたのである。

が。

当の一慶は、

「供託金を出さな選挙に出られへん段階で、既に金で議席買うてるようなもんやろ」

と開き直り、

「政治は金持ちの道楽」

とまで生放送でいい放ったのである。



< 31 / 323 >

この作品をシェア

pagetop