【完】『ふりさけみれば』
本番の放送が終わると、みなみは新幹線で京都に向かった。
「…大丈夫かなぁ」
落ち着こうと必死で抑える気持ちとは裏腹に、焦る思いもみなみには十重二十重(とえはたえ)に入り混ざっている。
車中の新聞で、仔細は判明していた。
関西の番組で不祥事を起こした大物の国会議員を、
「金で議席買ったんちゃうか」
としたたかに放言し、これが原因で番組に抗議や脅迫が殺到していたのである。
が。
当の一慶は、
「供託金を出さな選挙に出られへん段階で、既に金で議席買うてるようなもんやろ」
と開き直り、
「政治は金持ちの道楽」
とまで生放送でいい放ったのである。