【完】『ふりさけみれば』
その夜はそのままにして、みなみは翌日、休みなのを利用して、ロフトの様子を見ることにした。
一慶の布団だけはお通夜の湯灌の際に持ち出して今はないが、あとは経机から和綴(わとじ)の本から、整然と積まれたアルバムから、すべてそのままである。
「あ、これかぁ」
崩れたのは経机の脇の本で、一慶が書いた小説や童話が本になって渡されたときに、何気なく積んであった場所でもあった。
「…これ、なんだろ?」
童話の本から出てきた封筒がある。
開けると。
一通の手紙らしき便箋が、中から出てきた。
恐る恐るみなみは拡げた。