【完】『ふりさけみれば』
いっぽう。
みなみが戻った東京では、早くも別の動きが見え始めていた。
一慶の後任探しが始まったのである。
「あんないつ爆弾落とすか分からない問題児なんか、テレビには使えない」
というのが、アシスタントからディレクターに昇格したばかりの同期の笹森が漏れ聞いた話で、しかもすぐ後任が決まりそうな勢いである。
「いい方だったんですけど、あれではどうしようもありませんよね」
それまで仲良く共演しているように見えた司会の秋月しおんですら、そういった調子である。