【完】『ふりさけみれば』
すぐさま函館を離れ、東京に戻ったが、テレビをつけると引き戻されてしまうように感じたのか、今度は西へ向かった。
京都である。
この頃。
五つ上に五十嵐彩という先輩があった。
みなみが駆け出しのアナウンサーであった時期、親身になって発音からアクセントから見てくれたのが彩である。
もともとは報道志望であったがバラエティー番組に回されることが多く、
──このままでは思ってる仕事は出来ない。
というので関西のローカル局に移籍し、京都支局に配属されたことから移り住んでいる。