【完】『ふりさけみれば』
すると。
みなみは若手のアナウンサーの中では珍しく京都の名所やグルメに少し詳しくなり、
「京都のグルメ特集、やってみませんか?」
と企画の持ち込みをしてくるようになった。
こうした変化は、
「最近の橘ちゃん、京都にハマってるなぁ」
といった話題で会議にあがる機会もあらわれ、
「橘みなみ持ち込み企画」
というかたちでプランが実現化するものも出始め、ついにはコーナーとして撮影までするようになった。
この進歩を喜んだのは一慶だけでなく、
「橘くん、強みが一つ出来たね」
と先輩の清家も、後輩のみなみの成長を頼もしく感じた。