【完】『ふりさけみれば』
そのようにして。
みなみは、
「京都通の女子アナ」
という称号を手に入れることが出来たのだが、
「実際には彩先輩や兵藤先生の受け売りなんだけどなぁ」
と、四人で鍋を囲んでいたときにこぼした。
「でも、メディアって受け売りが仕事みたいなもんじゃないかなぁ」
呟いたのは彩である。
「あたしたちの仕事って、リキや先生みたいに一から作り上げてゆく作業って、ホント少ないじゃない?」
だいたいが何かの受け売り、と彩はいう。
「ドラマだって最近は漫画か小説を映像化してるし、情報番組だってネットとかから話題拾ったりするって話もあるし」
だからうちらの仕事って、受け売りみたいなもんなんだよね…という彩は、手にしていたグラスの酒をあおった。