【完】『ふりさけみれば』
要は義理堅いのである。
それまで。
テレビに出ていた頃の一慶は、傍らに人なきがごとし…といったような風があった。
が、
「付き合ってみたら好い人だった」
というのがみなみにしてみれば偽らざるところで、
(無礼なふりを演じていたのではないか)
と思うこともあった。
そうしたところは彩がよく知っていたようで、
「先生ってね、変に責任感強いから、あとから何度も原稿に手が入るのを嫌がって、だから連載やらないみたいなんだよね」
といったような話もみなみは聞いた。