【完】『ふりさけみれば』
このことからしても。
一慶という男があまり世渡り上手でないことがみなみには、手に取るように判ぜられた。
なぜなら。
要領がよければ舌禍なんぞ起こしはしないであろうし、よければもう少し一般的な仕事で働いているに違いなかったからであった。
そこは。
自分でも認めたくないと感じながら、みなみ本人も世渡り下手な面は否定し難いところがあって、
(似た者同士なのかな?)
という部分は把握できたようである。