【完】『ふりさけみれば』
4 戦場に在り
そうしたなか。
東京でのみなみの仕事は相変わらずであった。
「もう少しキャラを探らなきゃ、ねぇ」
などとプロデューサーにいわれたりするのも変わらず、かといってどうしたら良いのか、みなみ自身も皆目、見当すらつかない。
よく回ってくるのが食べ歩きのロケで、バクバクと大口で食べるので、
──大食い女子アナ。
といういわれ方をされたりすることもある。
が。
みなみ本人は背の高さも、怒り肩も、大食いも、何もかもが嫌で仕方ない部分はあったらしい。
唯一。
「みなみちゃんはおもろいなぁ」
そうやって認めていたのは、他ならぬ一慶である。