【完】『ふりさけみれば』
これには噺がある。
広島の私立の高校に在った頃、
「これから三年生は受験を第一、平常の授業は第二と考えて行動するように」
といわれたので、
「先生に質問があります」
「お、なんや」
「学校は平素学問するのが第一で、大学受験は予備校の仕事なんと違いますか?」
と訊いて、当然ながら先生は受験の意義を説いて、
「えぇか、分かったら座れ」
「そんなん分かったら座れいわれても、理解できんから座れません」
一慶はやり返した。