奏で桜
〝あ…、不快な眼差しは
みんな一緒か〟

私がそんなどうでもいい事について
勝手に納得していると、ヒイロは
ぱしっと私の手を握ってきて、

〝ティアナちゃん…逃げるよ。〟


と、不安そうな声で静かに呟いた。
…いや、実際に彼女の手はたしかに
震えていたんだ。



「ごめんなさい!
私達急いでいますからっ!」


彼女はその場から離れるように
私の手を引っ張った。



しかし、その思いも虚しく、
〝トサカ〟と〝鼻ピアス〟が
逃げ道を無くすように立ち塞がった。
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