奏で桜
「…ティ…アナ…ちゃ、ん?」








「…あら。ヒイロ…来たの?
それにアルトも…。

別に家で待っていてくれても
良かったのに。


見て?ヒイロ。
ちょうど今、〝コレ〟を
片付けたところなのよ。」


彼女は紅い眼を光らせ、
微笑みながらその〝コレ〟と
いう名の長髪の男?を持ち上げた。


彼女の言う〝コレ〟はあと二つ
地面に転がっていて、

一つは、あらゆる箇所を鋭利なもので
切り刻まれた跡があり、
血の色でTシャツが染まっていて、
それは、偶然にも水玉模様の
ように見えなくもない。


もう一つは、両手両足の四肢が
曲がってはいけない方向に
屈折していて、それは、
体をピクピクと痙攣させ、
一種の芋虫のような
状態となっていた。




最後に、彼女の持っていた
〝コレ〟は…


もう目が当てられないほどに
顔面が歪んでいて、それは
福笑いを不出来に作ったかのようであり、
もはや腫れすぎて
原型すら留めていなかった。


そして〝何か〟をひたすらに
ぶつぶつと呟いている。


どれもこれも、
目も当てられないほど
悲惨な姿となっていて、
それは人間と書いて、
〝にくかい〟とも呼べるみたいだ。


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