奏で桜
「…ヒイロ。もう大丈夫だよ。

貴女が怖がっていたものはぜーんぶ
私が取り除いてあげたから。
だから、もう安心していいよ。


…ほら。ちゃんとヒイロに謝って?」


「…なひゃ、い。ごめ…ゃい。」


「ねぇ…聞こえないよ、それじゃあ。


…ほら。もっとちゃんと
謝りなさいな。」





「…っ!!

ごめんなひゃい、ごめんなひゃい、ごめんなひゃい、ごめ、んなひゃい、
ごめんな、ひゃい、ごめんなひゃい、
あ、が…げほ、げほ、ごめんなひゃい、ごめんなひゃ、い、ごめんなひゃい、ごめんなひゃい、ご、めんな、ひゃい、

ごめんなひゃいぃいぃ…!!」





彼女の手の力によって〝コレ〟
の頭部はミシミシと音を立てる。

彼女は〝コレ〟を完全に従えていた。
というより〝コレ〟は完全に
彼女の支配下にあったんだ。

表情が、全身が、ガクガクと震え、
もはや先ほどの男と同一人物だとは
思えないほどに。





「あらあら…。
そんなに震えちゃって。可哀想に。


…ねぇ、知ってる?


< 123 / 169 >

この作品をシェア

pagetop