奏で桜
「……え?」



「診察券がなければ保険証でも構いません。
保険証くらいはありますよね?
それもなければせめて身分証だけでも…」





…しんさつけん?
…みぶんしょう?




彼が何を言っているのか
さっぱりわからなかった。

まるで異国の言葉を喋っているようだ。

しかしおそらくそれは大切なことなのだろう。

でも私にはわからない。
内に篭ってばかりの私にはわかるはずもない。



こういう時いつも対応していたのは
他でもないあいつだったからだ。

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