奏で桜

2

〝彼女は、籠の中の鳥のようであった〟








僕がお嬢様と出会ってから数年の時が
経過した。

その時間は僕にとって
長すぎず、されど短すぎない、
正にちょうどいいと感じられるほどに
心地よい環境であったと
言えるだろう。
ーいや、此処では後々の為、少々
〝短すぎる〟と言っておいたほうが
いいのであろうか。


彼女と過ごす時間は同等に
僕に十分すぎるほど、彼女を
観察出来る時間を与えた。


僕が気に入っている彼女の特長は、
彼女がわかりやすいほどに
〝人間よりも人間味ありふれた表情〟
をするところである。
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