奏で桜
そしてお嬢様はブスッとした顔を
してそう言うのだった。
その表情は怒っているように見えて、
実は少し反省しているようだった。

若い執事はそれを見て、
クスッと微笑む。
そして、



「〝ティアナ〟様…。
僕はたとえどんなことがあろうとも、
命に代えて貴女様のことを
お守り致します。
…ですからこの命、どうか
貴女様のために使わせて下さい。」


若い執事は更に決意をした。
それは一本の太刀のように
堅く、強いものである。



「…バカねぇ。
心配しなくても
一生使ってあげるわよ。
…だって貴方は
〝私の物〟なんですもの。」


まだあどけなさが抜けていない
女の子は、人差し指を
口元に持っていき、大人のフリをし、
妖しくもにんまりと微笑み、
口元から揃って見える二本の
小さくて、幼い牙を見せた。
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