奏で桜
彼女は独り言のようにぼそっと
呟くと、次の瞬間、それを
払い退けるかのように
心静かに語り始めた。



「…アルト。これから
貴方は私の道具よ。
それも私だけのね。

でも、安心なさい。
私…モノは〝大切に扱う主義〟なの。
途中で捨てるなんてこと
しないんだから。


だから貴方は私に
一生、仕えなさい。

そして、私に仕えることに
誇りを持ちなさい。


…最期、貴方か私が死ぬ時、

〝今までの人生、不幸だった〟

なんて言葉、
絶対に言わせてなんか
あげないんだから。




いいえ…必ず…








〝私に仕えて幸せだった〟

って言わせてあげる。」













ー〝どきっ〟


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