奏で桜
「…ヒイロ?どうかしたの?」


「…ねぇ、ティアナちゃん。
アルト君に何も言わないで
出てきちゃって
本当に良かったのかな…?」


「…どういう意味?」


「そのままの意味だよ。
やっぱり、私、内緒で出てくるのって
いけないと思うの。
私が最初に誘っておいて
なんだけどね…。

それに…アルトくんのことだから
〝何か〟理由があってティアナちゃん
を外に出さなかったんじゃないかな?
そうとしか考えられないし、
それだったら今している事は
彼の意思に反することだから…。」


彼女はコーヒーを不安そうな表情
でかき混ぜる。


「…いいのよ、別に。
だいたいあのばか…最近、また一段と
〝縛り〟が強くなってきたし。
これくらいの息抜きは必要よ。」


「でも…アルトくん…、
最近、前にも増して
忙しそうにも見えるから
仕方ないんじゃない?」
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