【短編】恋愛事情
お互いに、飲み物を頼んで順番に歌を入れる。

間近で見ても、ゆきりんは、かわいらしく、かなり年上のはずなんだが、いってても同い年くらいにしか見えない。


日記と写メの印象だと、わりと毒舌で気の強めなハッキリした人って思ってた。

実際に会うと違った印象をうけた。


室内のエアコンが寒いからと、ゆきりんが寄り添ってきた。
上着を着てこなかったのを、失敗したと思って、そのことを告げたら…
「くっついてたら、気持ちよいから大丈夫。」と言われて、そんな彼女の肩に手を回し、より密着するように引き寄せた。

嫌がる素振りもない彼女の唇に軽いキスをした。

少し体を強ばらせている彼女に「…いや?」と聞いてみたら、「…いや…じゃない」と返事され、さらにキスをした。
時折、彼女が体を離そうとするが、肩に回した手で逃がさないようガッチリホールドする。

胸に手を忍ばせようとしたら、やんわりと阻まれた。


唇を離して、また歌いだすときには彼女は、俺にくったりと寄りかかっていた。

もう歌う気は、ないのかな?
そう判断した俺は、今日宿泊のホテルへ彼女を誘った。


こんなこと初めてだ。


独身のときの飲み会や合コンのときだって、意気投合したノリでそのままホテルへ行ったりしたことがない。

ましてや、結婚してからなんて…


出会い系サイトで会った何人かの相手ともしょくして、話しをしただけだ。
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