【短編】恋愛事情
待ち合わせ場所に、周りを気にしながら、少し俯き加減でいるゆきちゃん。


俺は、近寄っていって声をかけた。


「ゆきちゃん?シュンです。」

顔を上げて頷くようにしたゆきちゃんは、写メの通りかわいかった。


それから二人でゆきちゃんの知っているお店でランチをしに行った。


ゆきちゃんとは、メールのやりとりと同じく、話しをしても楽しかった。

食べ放題のお店だったんだけど、若い女の子と違って、よく食べるんだ。
こんなに食べるのに、このスタイルでいられるのか?
なんて、思ってしまった。


俺の知っている40歳代なんて、中年太りやお腹のぽっこりしてる人ばかりだから、目の前の49歳と申告してるゆきちゃんが、信じられなかった。

それで、ゆきちゃんに聞いてみた。

「ゆきちゃんて、ホントに49歳なの?そう見えないんだけど…」


そうしたら
「うん、実は、43歳なんだ。少しサバをよんでたんだよね。」
と、言われた。
43歳よりもっと若く見えるんだけど…


やっぱり、49歳より若いんだと納得した。


どうして、サバをよんでいたのか、ゆきちゃんは、理由を教えてくれた。


あんな出会い禁止のサイトでも、出会いを求める男性がいるらしく、年齢を上にすることでそういった男性からの誘いのコメントがこないようにしてたという。

確かに、年齢層が若いほうだったから、49歳なんて相手にしない人が多いかも…

それでも、誘いをかけてくる男性っているらしく、ゆきちゃんを『もっといろんなとこに連れ出したいな』なんて誘い文句をコメントしてきたりされたそうだ。

メアドを交換した俺とゆきちゃんが、強制退会させられたような日記サイトでも、出会いを求めたりするんだとビックリしたが、実際にゆきちゃんと俺も出会っている。


ゆきちゃんが、他の男でなく俺と出会ってくれたのがうれしかった。
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