愛を探して・・
ばあちゃんは、梨乃に微笑んで
「英志、父さんの会社が
もう、ダメみたいでね。
やはり、あの子では会社は
回らないと思っていたんだ。
おじいさんは、今、従業員の
受け入れ先を探し回っている。
会社を精算してもかなりの額の
負債が残るみたいなの。」
「で?ばあちゃんは俺にどうしろと。」
「社員の行き先を
紹介してほしいのと
あの子たちの全てを精算して
残った負債額を、
私と折半してくれないかい?」
「ばあちゃん、俺があいつらに
何をされてきたか
知っていて頼むんだな。」
「わかっている、わかっている。
英志には、酷いことを頼んでいると
思っている。
だけど、あんな、しょうもない子でも
私の子なんだよ。
それに、あの会社は
おじいさんが創った会社
取引先も知り合いも多い、
迷惑をかけたくないのもある。
あの子達の後の生活は、
三人で、地道に働けば
いいと思っている。
贅沢しかしらない、
自分中心で生きてきて
世の中は、そんなに甘くないのを
知る良い機械だから。」
と、言った。
俺は、目を瞑り考えていた。
すると、梨乃が俺の手を
そっと握って
「英志、私会社の事は、
わからないけど、お義父さん達じゃなくて
おばあちゃまの力になってあげて。
私は、貧しくても
英志と英梨也とこの子が
いたら、幸せだから。」
と、言った。
俺は、梨乃の手を握り返し
「ばあちゃん、今回だけだ。
ばあちゃんと梨乃のためだ。
金額を知らせてくれ。
書面は、村上さんに作成してもらう。」
ばあちゃんは、涙を流して
「ありがとう。
英志、梨乃ちゃん。
こんな、お願いをしてすまないね。」
英梨也が、ばあちゃんの頭を
よしよし、していた。
しばらくして、ばあちゃんは帰って行った。