イケメン御曹司に独占されてます
だからと言って、何故池永さんの膝枕? あの至福の枕が池永さんの膝というか腿というか……。どちらにしても男の人の微妙な場所に、顔をこすりつけて匂いまで吸い込んだアレは、どう考えてもヘンタイ的な行動だったのでは!?


恥ずかしくて、もうどうしたら良いのか分かららない。
耳まで熱くなってうなだれる私に、池永さんが思いもよらない優しい声で言った。


「だけど、今日の佐藤さんは楽しそうだったな。お前とも仲良くなってもらえて良かったよ。これから工期が進んでいけば、俺のいない時にお前に対応してもらうことも多くなってくる。佐藤さん、初めて割り込めた大きな仕事で張り切ってるし、それにもうすぐ二人目のお子さんも生れるから今本当に頑張ってる。……だからお前も、できる限り力になってあげてくれ」


さっき、穏やかな顔で佐藤さんに言われたことを思い出す。


——萌愛ちゃん、秀明くんのこと、よろしくね——


こんな風にお互いを思いやれる相手と、一緒に仕事をしている池永さんは、やっぱりすごい。


「そろそろ送ってく。……お前、先輩にこんなに手間をかけさせたんだから、部屋でコーヒーぐらい飲ませてくれるんだろうな?」
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