イケメン御曹司に独占されてます
「山川の佐藤さん、納期の件でお電話頂きたいとのことです。それに来月の専務との出張の件で、先方のスケジュールの最終確認をして欲しいと。専務はその足で福岡に出張されるそうなので、早めにスケジュールが欲しいそうです」
「分かった。それと例のプレゼン資料、今たたき台作ってるから、それが出来たら福田も手伝ってくれ。今回の資料は絶対に失敗できない。大きなプロジェクトがかかってるから」
「分かりました」
「他には?」
「仕事では以上です。それと……昨日はありがとうございました。とても楽しかったです」
ちょっと声が小さくなった私に、池永さんのキーボードを叩く指が止まる。
「祖母も喜んでた。あんなに楽しかったのは久しぶりだそうだ。あの人も……娘を亡くしてるから」
その言葉に、思わず池永さんの横顔を見つめる。仕事中にプライベートな話なんて、ここへ来て初めてのことだ。
「良かったらまた来てくれないか。祖母のためだけじゃなく……俺のためにも」
その言葉には意味なんて無いのかも知れないけど。
それでも私の心の中は、甘くて、苦しくて、溢れ出しそうな気持ちでいっぱいになる。
何も言えなくて、ただうなずくだけの私に、池永さんが目を細めるだけの微笑みをくれる。
「ほら、早くその伝票処理してしまえ。また残業だぞ」
既に視線を画面に戻した池永さんの言葉に、慌てて仕事に取りかかる。
分厚い伝票を日付順に並び替えながら——溢れそうになる涙を必死でこらえた。
どうしよう。
私、池永さんが好きだ。
「分かった。それと例のプレゼン資料、今たたき台作ってるから、それが出来たら福田も手伝ってくれ。今回の資料は絶対に失敗できない。大きなプロジェクトがかかってるから」
「分かりました」
「他には?」
「仕事では以上です。それと……昨日はありがとうございました。とても楽しかったです」
ちょっと声が小さくなった私に、池永さんのキーボードを叩く指が止まる。
「祖母も喜んでた。あんなに楽しかったのは久しぶりだそうだ。あの人も……娘を亡くしてるから」
その言葉に、思わず池永さんの横顔を見つめる。仕事中にプライベートな話なんて、ここへ来て初めてのことだ。
「良かったらまた来てくれないか。祖母のためだけじゃなく……俺のためにも」
その言葉には意味なんて無いのかも知れないけど。
それでも私の心の中は、甘くて、苦しくて、溢れ出しそうな気持ちでいっぱいになる。
何も言えなくて、ただうなずくだけの私に、池永さんが目を細めるだけの微笑みをくれる。
「ほら、早くその伝票処理してしまえ。また残業だぞ」
既に視線を画面に戻した池永さんの言葉に、慌てて仕事に取りかかる。
分厚い伝票を日付順に並び替えながら——溢れそうになる涙を必死でこらえた。
どうしよう。
私、池永さんが好きだ。