イケメン御曹司に独占されてます
逃げ込むように飛び込んだのは、路地の奥にあった派手な看板がかかった場所。世間では〝ラブホテル〟と呼ばれている場所だ。
けばけばしい部屋のまん中には、不自然なほど大きなベッドが陣取っている。
同じ大きなベッドでも、この間泊まったホテルのスイートルームとはかなり違っていた。
息が切れて咳き込んだ私の手をようやく離すと、池永さんが乱暴にソファに座る。
私は目の前にあったベッドに、へなへなと座り込んだ。
「……池永さんて、強いんですね」
かなり長い沈黙の末、先に口を開いたのは私の方だった。ようやく息も落ちつき、安全が確保されて少しだけ気が緩む。
「さっきのあれって、空手……」
「……おまえ、一体どういうつもりだ」
地の底より低い声が私の言葉を遮り、そのあまりの迫力にまた沈黙が訪れる。
酔っ払ってフラフラと人気のない場所を歩き、タチの悪い人たちに絡まれるという、申し開きのできない失態を演じた私。
状況的には私の分がかなり悪い。万が一実家の両親に知られたら、一人暮らしを却下されかねない最悪の事態だ。
居心地の悪い沈黙に耐え切れず、かといって何かを口にすれば言い訳になりそうで……。
「あの……さっきはありがとう……」
けばけばしい部屋のまん中には、不自然なほど大きなベッドが陣取っている。
同じ大きなベッドでも、この間泊まったホテルのスイートルームとはかなり違っていた。
息が切れて咳き込んだ私の手をようやく離すと、池永さんが乱暴にソファに座る。
私は目の前にあったベッドに、へなへなと座り込んだ。
「……池永さんて、強いんですね」
かなり長い沈黙の末、先に口を開いたのは私の方だった。ようやく息も落ちつき、安全が確保されて少しだけ気が緩む。
「さっきのあれって、空手……」
「……おまえ、一体どういうつもりだ」
地の底より低い声が私の言葉を遮り、そのあまりの迫力にまた沈黙が訪れる。
酔っ払ってフラフラと人気のない場所を歩き、タチの悪い人たちに絡まれるという、申し開きのできない失態を演じた私。
状況的には私の分がかなり悪い。万が一実家の両親に知られたら、一人暮らしを却下されかねない最悪の事態だ。
居心地の悪い沈黙に耐え切れず、かといって何かを口にすれば言い訳になりそうで……。
「あの……さっきはありがとう……」