イケメン御曹司に独占されてます
私の話を聞いていた七海子の表情が次第に険しくなり、そして最後にはソファに深く座り込んで大きなため息をついた。


「……萌愛、それでホントに寝ちゃったの?」


「うん。……ずっと寝不足だったし、お酒も入ってて」


ううむ……と考え込んだ七海子が、悲痛な表情を浮かべて私を見つめる。


「それは……秀明さんには地獄だったね」


「う……。やっぱり、すごく迷惑かけたよね。私も凄く反省してて……」


「そうじゃなくて、我慢するのが大変だったってこと」


表情を崩した七海子はクスクス笑いながら、化粧ポーチからグロスを取り出して鏡に向かう。

我慢? 我慢って、何を?

目をパチクリさせながら見つめると、マスカラのついたまつげをくるくると指で上げながら、七海子が妖しい瞳で見つめ返してくる。


「んーん。いーのいーの、萌愛はソレで。なるほどねぇ、ツンデレ溺愛王子様と天然不思議系村娘……。王道っていえば王道か」


意味の分からない単語を並べて、七海子はなにやらほくそ笑んでいる。


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