イケメン御曹司に独占されてます
確かに、あの日の私たちは少しおかしかった。
明け方に目覚めた時にはまたしっかり池永さんに抱きしめられていて、もう泣いていないのにどうして!?ととても慌てたけど、池永さんの体温と規則的に刻んでいる鼓動を聞いているうちにとても幸せな気分になって。
そのあと池永さんが目覚めた気配がしたから慌てて寝たふりをしたら、今度は池永さんがじっと私の寝顔を見つめているのが分かって。
それからまた抱きしめられて——もう、どうしたら良いのか分からなくてまた泣いてしまったら、狸寝入りがバレて、両手で頬を包まれて。
その後タクシーを呼んでマンションまで送ってもらったけど、その間、ずっと手を繋いでいたのだから、やっぱりどう考えてもおかしい。
部署に戻るための非常階段を上りながら急に生々しくよみがえった記憶に動悸が激しくなり、フラフラと壁に寄りかかる。
あの時、ワイシャツ越しに感じた池永さんの体温。
眼鏡無しの優しい眼差しと甘い吐息。そのひとつひとつが鮮明に思い出されて、体のあちこちから切なさが溢れ出す。
手が——届かない人だと分かっているのに、それでも思い出さずにはいられない。
もともと素敵な人ではあるけれど、池永さんに恋をしていると自覚してからはなおさら、油断すると目を奪われてしまう。
私は大きな深呼吸をして、自分の頬を思い切りペチペチと叩いた。
明け方に目覚めた時にはまたしっかり池永さんに抱きしめられていて、もう泣いていないのにどうして!?ととても慌てたけど、池永さんの体温と規則的に刻んでいる鼓動を聞いているうちにとても幸せな気分になって。
そのあと池永さんが目覚めた気配がしたから慌てて寝たふりをしたら、今度は池永さんがじっと私の寝顔を見つめているのが分かって。
それからまた抱きしめられて——もう、どうしたら良いのか分からなくてまた泣いてしまったら、狸寝入りがバレて、両手で頬を包まれて。
その後タクシーを呼んでマンションまで送ってもらったけど、その間、ずっと手を繋いでいたのだから、やっぱりどう考えてもおかしい。
部署に戻るための非常階段を上りながら急に生々しくよみがえった記憶に動悸が激しくなり、フラフラと壁に寄りかかる。
あの時、ワイシャツ越しに感じた池永さんの体温。
眼鏡無しの優しい眼差しと甘い吐息。そのひとつひとつが鮮明に思い出されて、体のあちこちから切なさが溢れ出す。
手が——届かない人だと分かっているのに、それでも思い出さずにはいられない。
もともと素敵な人ではあるけれど、池永さんに恋をしていると自覚してからはなおさら、油断すると目を奪われてしまう。
私は大きな深呼吸をして、自分の頬を思い切りペチペチと叩いた。