イケメン御曹司に独占されてます
乱心のオフィス
「数字は合ったのか?」


隣でキーボードを叩きながら、池永さんが冷たく言った。


「……すみません。まだです」


小さな声で答える私に、池永さんが冷たい視線を投げつける。


「一体いつまでかかってるだ。そんなんじゃ、時間がいくらあっても足りないぞ」


「すみません。でも何度計算しても数字が合わなくて」


私のデスクに目を走らせた池永さんの大きなため息が、私の胸を重苦しいもので押さえつける。


「……向こうの明細とどれだけ違うんだ」


つぅっと椅子を近寄せて。また私の体にぴったりと寄り添うから、そっちの意味でもまたどきりとする。
< 188 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop