イケメン御曹司に独占されてます
あれから——池永さんとキスをしたあの日から、私たちの関係は明らかに変化していた。


仕事中は相変わらず厳しい池永さんだけど、仕事が終わったあと、ふたりで一緒に食事をすることが多くなった。
そして家まで送ってもらった時には、あの公園で少し話すのが日課となり、時には肩を抱かれたり、はたまたギュッと抱きしめられたり、ほとんど絶対と言っていいほど手を繋いで私のマンションの扉の前まで送ってもらう。


「今度また、ランチパーティがあるから来てくれって祖母が言ってたぞ」


この間も、送ってもらった扉の前でまだ手を繋いだまま、池永さんが言った。


「この前、お前が世話をしていたご婦人がいただろう? 彼女がぜひお前にプレゼントしたいものがあるから、会いたいって」


先日のランチパーティで、足の不自由な老婦人の手助けをしたことを思い出す。
押し花アートの先生だとおっしゃっていたけれど……。


「私、プレゼントをいただくようなこと、何もしてません」


「色々と気遣いをして、フルーツや飲み物を運んでいただろう? それに話し相手もしてもらって、とても心が癒されたそうだ。……祖母もお前に大切な友人をもてなしてもらって、大層喜んでいる」
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