イケメン御曹司に独占されてます

「その時、池永さんにストレートに言われた。誰かを妬んで嫌がらせするなんて、卑怯で怠け者のすることだ。悔しかったら与えられた場所で、脇目もふらずに努力しろって。優秀になって、自分を選ばなかったことを後悔させろって。俺の後輩ならそれくらいやれ、じゃなきゃ人事に推薦した俺の立場が悪くなる、だって」


くすくす笑いながらミルクティを飲む、広瀬さんの顔が優しい微笑みで満たされる。


「ほんっと、性格悪いよね！？　あんな人のアシスタントにならなくて大正解だわ。福田さん、ホントに大変だよね」


そう言いながら、福田さんは池永さんの綺麗に片付けられたデスクの上を、愛おしそうに手のひらで撫でた。
それからゆっくり視線を巡らせて——卓上カレンダーに行き着いたところで、視線が止まる。

そして一瞬泣き出しそうな顔をしたと思ったら、次の瞬間にはとびきりの笑顔を私に向けた。


「さっきちらっと見えたんだけど、今作ってる資料、バランスシートの配置があんまり良く無いんじゃない？」


「え！？」


「もうちょっと効果的なグラフィックを使わないと、有利な点が目立たないよ。こういう資料を作るときは、ちょっとしたコツがあるの」