イケメン御曹司に独占されてます
「……佐藤さん、奥さんが流産しかけたんだって。だからこの二日間くらいずっと病院についてたみたいで……」
「それで、大丈夫だったの!?」
「大変な時期は乗り切ったって……。それでようやく今日会社に出てこられたって」
「ほんと良かったな。奥さんも、配送もさ」
身支度を整えた野口くんが、席を立つ。
「そんじゃ、俺戻るわ」
ホッとした顔をしてエレベーターホールに向かう野口くんを、思わず呼び止めた。
「あの……ありがとう。帰ってきてくれて」
「そんなの当たり前だろ。……それに、俺もごめん、昨日は言いすぎた」
小さなため息をついて、野口くんが優しく笑った。