イケメン御曹司に独占されてます
「この馬鹿!! どうしてもっと慎重に行動できない……」
鬼のような顔で怒鳴り散らす、長年憧れ続けた王子様を見上げる。
私がこの人に抱きしめられるのは、会社に入ってからが初めてじゃ無い。
あの時、手の中に握り締めたよつ葉をターくんに渡した時が、きっと最初。
「怪我は……無いようだな。いや、皆さん申し訳ありません。お騒がせして」
騒然としていた周囲のお母さんたちに、営業用秀明スマイルで会釈して回る。そして池永さんは強引に私の手首を掴み、足早に公園を出て行く。
「池永さんっ……。そんなに引っ張ったら、痛い……」
「うるさい。こんなに心配させて……。これからお仕置きしてやる」
「お仕置き!? な、なにをするつもりですか!? あの難しい資料だって、ちゃんと作ったのに。それに昨日のトラブルの処理、聞いてないんですか!?」