イケメン御曹司に独占されてます
「……昨日のことは本当によくやった。佐藤さんにも丁重に礼を言われたよ。お前には改めてお礼の席を設けてくださるそうだ。どこでも好きなところに連れて行くと言っていたぞ。……それと、お子さん、今朝早くに無事産まれたそうだ。元気な女の子だって」


「良かった…・・」


「それに滝川さんには、俺なんかのアシスタントしとくには惜しいって、散々嫌味を言われたな。物流を丸め込むなんて中々できないってすごく褒めてた。安西先生のことといい、お前の優しい真心が、皆を動かしたんだな、きっと」


ふと歩みを緩めた池永さんが、優しげに見下ろしながら言った。
キラキラ輝く大好きな瞳を思う存分見つめながら、池永さん不在のピンチの時、ずっと心のお守りにしていたことを口にする。


「池永さんならどうするかなって思って……」


「俺?」


訝しげに目を細める王子様に、私は笑いかける。


「池永さんなら、きっとどんなことをしても取引先を守るって思って。だから私も、池永さんと同じことをしようと思いました。私は、池永秀明のアシスタントだから」


秀明が秀明である所以。それは、大切な物を守るために、決して諦めないということ。一見どんなに難しく見えることでも、戦うための努力をするということ。


そう言った私をしばらく見つめたあと、池永さんがまた手首を掴んで乱暴に歩き出す。
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