イケメン御曹司に独占されてます
「や……池永さ……」


甘えるように上ずった声に、色素の薄い瞳がきらきら光る。
体を起こして、優しくシーツを剥がれて。カーテンから差し込む光の中で、簡単に組み敷かれてしまう。


「やだ……。こんなに明るいのに……」


「どうして? 明るくても俺は構わない。というか、こっちの方がいい」


鮮やかに微笑む瞳は優しく細められて。昨日から穴があくほど見つめているというのに、やっぱり目が離せない。

本当に夢みたいだ。……もしかして夢!?
触れたら、消えてしまうとか?

恐る恐る手を伸ばして、私を見下ろす頬に添える。池永さんの手が重なって、指先に落とされるキス。
それだけで……目が眩んでしまう。


「好きだよ、萌愛。……愛してる」


絡まった指がシーツに押し付けられて。冷たいリネンは、そこからまた私たちの熱で染められていく。


「私も……好き。大好き」


嬉しくて、いっぱいになってしまった胸から溢れ出すように、また涙が溢れる。


「……まいったな。お前に泣かれるのは弱いんだ。言ったろ? トラウマだって」


優しく微笑んだ王子様の残像。
あとはただ焼けるような情熱に、二人で流されていった。












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