イケメン御曹司に独占されてます
暮れも押し迫った十二月。日付はすでに中旬を過ぎ、取引先との忘年会や年末年始の仕事の手配で池永さんは忙殺されている。
私の方も通常の業務に加えて、次々舞い込む雑事でてんてこ舞いだ。
様々なことが起こって、ターくんが池永さんだったことが発覚してから早くも一ヶ月余り。
次第に色んなことが明らかになって、呆然としたり、憤慨したりと忙しい一ヶ月だった。
けれど、つまりは皆が私のことを大切に思ってくれていたってことで……。
それを思うとありがたくて幸せで、最後にはやっぱり感謝の気持ちしか残らない。
うちの両親にも、ずっと細やかな気配りをしてくれていたおばあ様や拓哉さんのお父さん。それに池永さんに私の近況を報告していたという源兄ちゃん。
源兄ちゃんに至っては、小学校以来ずっと池永さんと付き合いがあったというのだから、本当にすっかり騙されていたということになる。
「あ、そう言えば、源にクリスマスパーティを一緒にやらないかって言われてるんだ。実は俺と源の通ってた空手道場のクリスマス会でさ。壮太と幸太も通ってるし、俺、たまに子供たちに稽古してるから、それもあって」
仕事帰りに食事していたとき、池永さんがちょっと申し訳なさそうに言った。