イケメン御曹司に独占されてます
「女の子ですー! 何だか野菜をいっぱい持っていてー!」
奥に向かって叫び返した後、彼は長身の体をかがめて、転がった野菜を拾い集めてくれた。
すらりとした膝をついて、長い指でじゃがいもを拾う。
「大丈夫? ……野菜がたくさんあるね。これ、自家製?」
優しく見上げられた瞳は、明らかに自分のものとは違って、見たことのない色をしている。
茶色……? 緑……?
髪の色も黒では無くて、クラスの友達の中でもちょっとくらい明るい髪をした子はいるけれど、それとも明らかに違う。
プリンス仮面様だ……。
今、学校で女子に大人気の、アニメに出てくる魔法の国の王子様。
その姿は、彼にとてもよく似ている。
何の反応もできずにただ呆然とする私を、困ったように見上げる彼の背後から、おばさんがエプロンで手を拭きながら、パタパタと走り寄ってくる。