イケメン御曹司に独占されてます
ターくんは源兄ちゃんの前の学校での友達で、一番の親友だったという。
そしてその年の夏休みを、ずっとこの町で過ごした。

源兄ちゃんは空手をやっていて、がっしりとした体つきのどちらかというと男らしいタイプだ。
どうしてこんなに王子様みたいなひとと親友なんだろう、と思っていたら、通っていた空手教室で一緒だったという。


空手なんて……王子様には似合わない、なんてふと思っていると、

「ターは向こうの道場じゃ、一番強かったんだぞ」と私の心を読んだ源兄ちゃんが、笑いながら言う。


「源、それ大げさ」


「大げさなもんか。この前の大会だって、お前六年差し置いて優勝したじゃん」


こんなイケメンだけど、本当は強くて男らしいんだぞ、と真剣に私に訴える源兄ちゃんを、ターくんは嬉しそうな笑顔で見つめる。


本当に仲良しなんだな、と思った。
男同士の友情、っていうのかな。


まだ幼かった私は、多分その出会いの一瞬で、簡単に初恋に落ちたのだ。
……いや、幼かったからこそ、あんなことをしでかしてしまったのかもしれない。
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