イケメン御曹司に独占されてます
遠目にも分かる、王子様のような姿に、一瞬目を奪われる。
この会社に、あんな人がいたんだ……。
そう思った瞬間、岡田さんが伏せていた顔を上げた。
距離が離れているにもかかわらず視線が合っていることに気づいたのか、微笑みながらこちらに向かって手を振ってくる。
へ?
振り返ったところで、その視線の先には、私とパソコンに向かう野口くん以外誰もいない。
え? 私?
恐る恐るペコリとお辞儀をすると、遠目にも分かる華やかな微笑みを返されて、なぜだかどきりとした。
それは何だか、嵐の前の静けさのように、私の心を意味も無くざわざわとさせた。
「——それでは、乾杯!!」
営業二部の新部長の掛け声で始まった、歓送迎会。
総勢四十人と大所帯になってしまった貸切の座敷で、私と野口くんは一番の下座にふたりでぽつんと座っている。
「野口、ビール追加!!」
「福田、これ頼んで!!」
と最初こそ私たちを通していたオーダーも、お酒が進むにつれてそれぞれが好きなように振舞うスタイルに移行していく。
この会社に、あんな人がいたんだ……。
そう思った瞬間、岡田さんが伏せていた顔を上げた。
距離が離れているにもかかわらず視線が合っていることに気づいたのか、微笑みながらこちらに向かって手を振ってくる。
へ?
振り返ったところで、その視線の先には、私とパソコンに向かう野口くん以外誰もいない。
え? 私?
恐る恐るペコリとお辞儀をすると、遠目にも分かる華やかな微笑みを返されて、なぜだかどきりとした。
それは何だか、嵐の前の静けさのように、私の心を意味も無くざわざわとさせた。
「——それでは、乾杯!!」
営業二部の新部長の掛け声で始まった、歓送迎会。
総勢四十人と大所帯になってしまった貸切の座敷で、私と野口くんは一番の下座にふたりでぽつんと座っている。
「野口、ビール追加!!」
「福田、これ頼んで!!」
と最初こそ私たちを通していたオーダーも、お酒が進むにつれてそれぞれが好きなように振舞うスタイルに移行していく。