イケメン御曹司に独占されてます
全く恋愛経験の無い私にとっては、まばゆいばかりの美男美女。


「でもぉ、あの部署に配属される女子も大変よねぇ……。去年の人も半年で辞めたんでしょ?」


「いや……。辞めたというか、別の部署に転属になったらしい。まぁ、適性ってのもあるんだろうし、一概に能力が無かったって理由じゃないと思うよ。厳しい入社試験を突破した上で入ったんだろうし」


野口くんは人の悪口を言わない。さすが、チームスポーツの主将をやっていただけのことはある。


「女子だって、毎年選りすぐりが送り込まれてるらしいんだけど……。まぁ、女の子にとってはちょっと厳しい部署かもね。七海子みたいなタイプは絶対に行かされないだろうから大丈夫。萌愛も簿記二級持ってるんだし、経理部は堅いんじゃない? 同期で二級まで持ってる奴なんて他にいないんだろ?」


「それはそうだけど……。まだ分からないし……」


それでも、野口くんが目指している第三営業部に自分が行くことは、絶対に無いだろうと思う。


第三営業部はこの本社の中で最も忙しいと言われている部署だ。
一ヶ月に及ぶ研修期間中に何箇所か本社内のフロアを見学したけれど、あの部署だけは何だか空気が違っていた。
< 5 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop