イケメン御曹司に独占されてます
誰にも気づかれないはずの廊下の隅。不意に後ろからかけられた声に弾かれたように振り向くと、華やかな笑顔に捉えられる。


「やっと話せた。あんなにべったり秀明が張り付いてたんじゃ、挨拶もできやしないからね」


居酒屋の廊下には、不似合いなほどキラキラしたオーラ。
そのあまりの華やかさに、私は思わず後ずさった。


「嫌だな。そんなに怖がらないで。秀明と違って、意地悪なんてしないよ?」


目の前には今日初めて知った次期社長候補の姿がある。


「あ、あの……」


「萌愛ちゃんでしょう? 福田萌愛。営業三部の期待の新入社員にして、秀明のアシスタント」


ふわりと優しい笑顔を浮かべているだけなのに、この圧倒的な威圧感は何だろう。池永さんとはまるで違う、少し気を抜いたらどんなことでも従ってしまいそうな危険な魅力。


岡田さんには、何だか言い知れない、底知れない引力がある。
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