イケメン御曹司に独占されてます
「沢田さんは秘書課、広瀬さんは第三営業部が希望なんだって」


肩を竦めながら七海子が視線を馳せた、そのふたりが一斉にこちらを仰ぎ見る。その強い視線に、やっぱり少し萎縮する。

やがて会議室のドアが開いて、人事部長が足早に入ってきた。
一斉に静かになる室内に、期待と不安が入り混じった緊張がみなぎって、そのまま配属が始まった。


どんな順番なのかは分からないけれど、次々と名前を呼ばれた同期たちが人事部長の元に向かい、一枚の紙を貰って席に戻る。


先に呼ばれて席に戻ってきた七海子が、嬉しそうにこっちを見た。パチリとウインクをされて、希望が通ったことを知る。


良かった。秘書課に配属されたんだ。


それに比べて、沢田さんや広瀬さんがあからさまに落胆しているのを感じる。


沢田さんは秘書課希望だっけ。ダメ……だったのかな。


研修中の面談で自分の希望は伝えたけれど、誰もが自分の行きたい場所に行ける訳じゃない。
そう思うと、希望の経理課に行けなかったら……と不安でならなくなる。


でも……。もしも別の部署に配属されても、そこで精一杯頑張ればいい。
きっと私の適性を知った上で配属されるのだから、頑張ればきっとやれるはず。
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