イケメン御曹司に独占されてます
そう言って頭を深々と下げる池永さんの隣で、私も深く頭を下げる。
「ミス? それ以前の問題だね。この物件は橋梁。厚さ三ミリの板を使って、一体どんな橋が作れる?」
「本当に申し訳ありません」
余りにも威圧感のある滝川さんの隣で、私はただ頭を下げることができない。
「全ては僕の責任です。昨日は……オーダーに目を通していませんでした」
「いえ、それは私が……」
「お前は黙ってろ」
言いかけた言葉を短く遮った池永さんに、滝川さんが短いため息をつく。
「……頭を上げて。話ができない」
恐る恐る顔を上げる。滝川さんの隣では、いつも電話でやり取りしている桜井さんが、心配そうな顔でこちらを見つめている。